【きっかけ】
協会に参加することになったきっかけは、お客様からの相談でした。「面接に来た人からLGBTのことについて聞かれたのだけれど、どうすればいいの?」仕事柄、経営者とお話しする機会が多く、働くときのルールを経営者と一緒に考えたり、どうすれば従業員が納得しながら働いてもらえるかという相談を受けたりします。そんな中でLGBT当事者を受け入れることについて相談を受け、即答できませんでした。面接した社長も、あの人が来てくれたらうちも助かるなぁと言っていたくらいの逸材でしたが、他社で就職することとなりました。すぐアドバイスできなかったことがとても残念でした。また、面接した社長も残念がっていました。そんな時によしみ代表と出会い、協会の認定試験で勉強させていただくことになりました。
【実態について】
LGBT・性的少数者に関する専門シンクタンクである株式会社 LGBT 総合研究所(博報堂DYグループ)が、2019年4月から5月にかけて大規模な実態調査を実施した内容(※1)によると、LGBT・性的少数者に該当する人は約10.0%と判明しました。働いている人の割合で考えると、10人の会社があったら、一人はLGBTに該当する計算です。また、性的指向および性同一性(性自認)別にみると、性的指向別では異性愛に該当しない人は7.0%、性同一性(性自認)別ではシスジェンダー(※2)に該当しない人は6.1%でした。ちなみに従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数は82万1,000人(※3)で、就業者数の6659万人(※4)の1.23%と比べても圧倒的に多いのです。
【違和感】
そんな、見方によっては多くの人がいるのに、なぜLGBT当事者が働きにくいのか、とても違和感を感じます。原因には法律上のジェンダー制限と、他者理解の不足があると考えます。たとえば労働安全衛生規則の第七章、「清潔・第六百二十八条」では、「一 男性用と女性用に区別すること」として、オフィスのトイレを男女別にすることが定められていますが、それ以上の規定はありません。また、性的マイノリティであるというだけで、ハラスメントの被害に遭いやすく、本人の意思に反した配置転換や退職勧奨を受けるなど、弱い立場に置かれてしまうことが少なくありません(※5)
【これから】
今後、企業で求められるトランスジェンダー対応・同性パートナーの相談・SOGIハラなどは、基本的には2020年6月(中小企業は2022年4月)に施行されたパワハラ防止法をはじめ、法律で対応できるものがほとんどである、という見解が示されています。しかし、職場の従業員同士の理解度はまだまだと考えます。少しでも多くの人が働きやすい環境になりますよう、理解を深めることが大切ではと感じています。私自身が受講して大変身になった協会の認定講座が我々社労士をはじめ、少しでも多くの人に伝わるよう、そんなお手伝いを今後もできればと思います。
特定社会保険労務士 帆苅 剛
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