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虹の架け橋クラブに参加したきっかけ

虹の架け橋クラブに参加したきっかけはシップオーナー(皆で漕ぎ出す船のオーナーです。)の吉美さんからお声かけいただいたことです。その前から、日本セクシュアルマイノリティ協会の法律相談を担当したり、検定を受けたりはしていて、イベントにも参加したことがあったのですが、当事者やその周りの方々と気軽にお話できる機会があまりなかったことから、検定でのディスカッションや雑談がとても興味深く、楽しかったことも思い出し、参加させていただくことに致しました。


定例会等、仕事と重なるとなかなか毎回参加できないのが残念ですが、参加してみてよかったと思っております。様々なお立場、お仕事の方々が、それぞれの視点でお話をされていて、たくさんの気付きがあり、世界がただ広がったのではなく、多様に広がった気がしています。皆様が、それぞれの意見、立場を尊重しているからこそ、本当に思ったこと、感じたことが言える、ということを実感できています。


私も普段の仕事で、私がご相談いただく方の状況にあったらということを考え、その思いを尊重することを心がけていますが、尊重された時の安心感を実際に味わう機会は貴重でした。お話のテーマも、ある方の体験から学んだり、自分が仕事上できることを共有し合ったり、社会の話題について議論したり、と様々で、型にはまらず、いろんな場となるので、次はどんな場だろう、という期待を持って参加していけます。


私自身は、現時点では、おそらく支援者という立場になるのだと思いますが、当事者の方々のゆらぎ、クエスチョンという感覚を、想像しやすい立場にいるかもしれない、と感じています。私は人生で二度、生物学的、社会的に「女性」として生きていた方から、恋愛感情を明確にされたことがあります。当時の私の理解の浅さから、それ以上、相手の方のセクシュアリティを明確にできないことも残念で申し訳なく思います。


一度目は小学生でしたから、そもそも恋愛感情自体を理解できていませんでした。それまで親友として仲の良かった相手が、私の転校を伝えたことを機に、泣いてばかりになり、幼い私でも恋人同士がするのでは?と感じる接触を求められました。離れない訳にはいかない子どもの私は、その接触を受け入れられる範囲で受け入れるしかありませんでしたが、その時にどうしても、相手と同じ質の感情を感じることができませんでした。ただ、大切な親友に応えられないのだろうか、ということを何度も自問自答し、そもそも自分は何なんだろう、という思いで頭がぐるぐる回りました。


二度目は大人になってからなので、好意を示す側も受け止める側も、何をしているか、されているかについては、はっきり認識してはいたのですが、それまで何度か恋愛を体験しているのに、そのぐるぐるした感じはまるで変わりませんでした。私に同じ感情が起きない原因は、セクシュアリティではなく、人間の相性、好みといったものかもしれない。不十分ではあっても多少の知識がある分、自分をどこかに位置づけたくてもできない、という気持ちが強くなり、ますます悩みが深くなっていきました。


結局どちらの場合も、私の中で何かが起きて生まれた嵐であったのに、肝心の相手にはその嵐が過ぎ去るまで何もできなかったのでは、という後悔の種を胸に抱えながら生きてきて、未だにその種はずっと奥の方に残っています。


ただ、せめて、私の身に起きたことに何か意味を持たせることはできないか、と思うようになりました。自分のセクシュアリティはそんなに簡単には分からない。疑問を持つ時も、何となく見えてくる時も、それぞれ違って当たり前。ほんの入口だけでも、そのことを体感できているだけで、その経験がない方よりは、ぐるぐるの真っ只中にいる方に近いところで寄り添いやすいのではないか、と思います。そして、私の弁護士の仕事は、その寄り添いが必要で、それぞれのぐるぐると社会の間で起きるトラブルの解決につなげられる仕事の一つだと思います。


そう思って当事者の方々からの法律相談をお受けしていますが、特にライフプランに関わるご相談をお受けしていて感じるのは、パートナーのことを本当に大事に思っていらっしゃることです。お互いのことも、社会とのことも、当然に、ということではなく、一つ一つ真摯に向き合わなければならない状況は、その積み重ねという強固な信念、信頼関係を作り出すのかもしれません。人間としての尊敬を感じます。私の方が人として大事なことを教わっていて、お礼を言われるときには、いえいえこちらこそ、とつい心の中で頭を下げます。


そんな感謝も含めて、当事者の方々のお役に立ちたいのですが、教わったことはあらゆる方にお伝えしたいことです。自分が相手をどれだけ真摯に見ているか、という振り返りから視点を変えることで、相手に対する疑心暗鬼がなくなっていったり、見えていなかったトラブルの原因が見えたりすることもあります。もしかしたら相手にこう思われているかも、と私からお伝えして、確かにそうですね、とお客様に言っていただけた時には、学べたことのおかげだな、と感じます。 クラブでもまだまだ学びだらけで、お役に立てているかは大変心許ないのですが、皆様の尊重からの優しさに甘えて、これからも一歩ずつ学びながら、楽しく活動していければと思っています。


渡辺未来子





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